毛穴にしみこむ空気の涙

想像力がありすぎるあまり現実感がないのかもしれない。


今の学校に入って「自分が嫌い」な人に多く会った。
その「嫌い」を身体で示す人。言葉だけで表現する人。
その反対の人にもたくさん会った。「自分が好き」な人。
自分に対しての好き嫌いを言葉に出すのは女性が多かった。
といっても私の周囲の人間だけだから一概には言えないけど。


自傷することを打ち明けてくれる人が何人かいる。
何故だか一定の付き合いをすると彼らは私に打ち明けてくる。
私は否定しない。肯定もしない。ただ聞いてあげるだけで良い。
自傷行為の話をされても引いたりはしない。
打ち明けられた時、好奇心をもって聞いたことがある。
「痛くないの?」
「痛いとかは思わない。あったかい。生きている感じがする。」
そんな様な答えだった。
私は想像しようとした。生きているという実感を得ようと刃物を腕に押し当てる自分。
すぐに嫌になった。痛い。
注射針でさえ真っ青になるというのに、カッターやナイフなんて以ての外だ。
「痛み」で生きてるかどうかを実感するなら頬をつねれば済む話だ。


自分にとって「自傷」は、リアリティがない。
リアリティがないから実際に自傷をしている人の話を聞いてもフィクションとして処理される。
私とその人は同じ土俵にたって居ない。だから私は受け流すことが出来る。
物語の登場人物に本気になって同情できることなんて滅多にない。


現実と空想がごちゃ混ぜになるっていうのはこういう状態なのかもしれない。
別に困ったことはないけど。